薬物依存の苦しさは、薬物そのものだけではありません。
隠し事や嘘を重ねることで、家族や大切な人との信頼だけでなく、自分自身への信頼も少しずつ削られていくことがあります。
■ 隠し事が増えていく苦しさ
もし、自分の隠し事や嘘がすべて明るみになったらどうしますか。私は薬物を使っていた頃、嘘に嘘を塗り重ねるような人生を送っていました。
もし自分の隠し事が全部暴かれたら、自分という存在が溶けて消えてしまうのではないか。
そう思うほど、常に強い不安を抱えていました。薬物を使うことと、嘘をつくことは、とても強く結びついてしまうことがあります。
もちろん、最初から「嘘をついて生きよう」と思って薬物を始める人は少ないと思います。
けれど違法薬物を使っていると、どこに行くのか、誰と会っているのか、何にお金を使ったのか、本当は今どんな状態なのかを少しずつ隠すようになることがあります。
そうして本当の自分を見せられない時間が増えていくと、心は想像以上に疲れていきます。

■ 嘘は自分への信頼も削っていく
嘘や隠し事がある人生は、想像以上に苦しいものです。たとえ楽しいことがあっても、心のどこかに負い目が残る。
100%安心して笑えない。「バレたらどうしよう」という不安が、頭の片隅から消えない。
それは、自分自身が一番「正直に生きられていないこと」を分かっているからだと思います。
薬物依存の問題は、身体への影響だけではありません。嘘を重ねることで、家族や恋人、友人との信頼関係が少しずつ壊れていくことがあります。
そして一番苦しくなるのは、他人よりも、自分自身に対して誠実でいられなくなることです。
罪悪感が限界まで積み重なると、人は「みんな何かしら依存している」「酒よりマシ」「自分はやめようと思えばやめられる」と開き直ることがあります。
でもそれは、苦しさを感じ続けないために、心が必死に自分を守ろうとしている状態なのかもしれません。

■ 正直に生き直すという回復
私は、薬物依存の問題は「悪い人だから起きる」のではないと思っています。
人は弱さや苦しさを抱えた時、自分を守るために嘘をつき始めることがあります。
けれど、その嘘は少しずつ自分自身の心を削っていきます。
私自身も、薬物使用が長くなるにつれて、「どうせ自分はクズだから」「薬物をやっているから幸せになれない」と、自分を卑下するようになりました。
だからこそ大切なのは、責め続けることではなく、もう隠し続けなくてもいい状態へ少しずつ戻っていくことなのだと思います。
本当の意味で回復していくというのは、薬物をやめることだけではありません。
「嘘を重ねなくてもいい」「本当の自分を隠し続けなくてもいい」。
そんな生き方を少しずつ取り戻していくことです。ナルコノンでの回復は、薬物のない人生だけでなく、自分自身への信頼を取り戻す道でもありました。

ナルコノン卒業生スタッフ タコ
薬物やアルコール依存について情報を得たい方へ
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