2024年4月1日、ドイツで嗜好用大麻が条件付きで合法化されました。これはヨーロッパではマルタ、ルクセンブルクに次ぐ3か国目の決定です。しかし、過去の事例を見ても、大麻合法化には深刻なリスクが伴います。本記事では、私ナルコノンジャパンの代表 神野が、ドイツが合法化に至った背景と目的、潜在的なリスク、そして今後懸念される影響について解説します。
合法化に至った背景と目的
ドイツが大麻を合法化した背景には、大きく分けて2つの目的があります。まず、闇市場の縮小と組織犯罪の抑制です。
これまでドイツでは違法市場を通じて大麻が流通しており、警察や司法機関の取り締まりが追いつかない状況が続いていました。そのため、合法市場を整備することで、ギャングや暴力犯罪の関与を減らし、違法な薬物取引への根源を他の犯罪対策に振り分ける狙いがあります。
次に、経済的メリットの追求です。合法化により、大麻市場が透明化し、新たな税収が期待されると踏みました。また、大麻ツーリズムの促進や、産業用大麻の生産拡大によって、農業・製薬業・小売業など幅広い産業に経済的な波及効果が見込まれています。しかし、こうしたメリットの裏には、見過ごせないリスクが存在します。
大麻合法化のリスク
良いことばかり起こるように見えるかもしれませんが、デメリットを見過ごすわけにはいきません。ここからはそのリスクを見ていきましょう。
リスク1.依存症や精神疾患の悪化
大麻の合法化には、健康や社会に与えるリスクが多く指摘されています。特に高濃度THCを含む製品の使用により、幻覚や不安感を引き起こし、医療・福祉の負担が増大する可能性があります。
リスク2.交通リスクの増加
以外に思われるかもしれませんが、大麻使用による判断力や運動能力の低下が、交通事故の増加を招くことが懸念されます。飲酒運転がこれだけ厳罰化されたことを考えれば、想像しやすいのではないでしょうか。
リスク3.労働生産性や学力の低下
集中力の欠如が、職場や学校での生産性低下につながる恐れがあります。
リスク4.違法市場の存続
合法市場では価格やTHC濃度の規制があるため、より強力な大麻を求める消費者が引き続き違法市場を利用する可能性があります。
リスク5.公共の秩序の乱れ
受動喫煙や公共スペースでの使用が問題となり、観光業や市民生活に悪影響を与えるリスクが指摘されています。
合法化による悪影響への警鐘
大麻合法化による悪影響は、過去の事例からも明らかです。例えば、カナダでは2018年に合法化されましたが、6年が経過した現在も規制のあり方が議論されており、健康被害や社会問題が報告されています。
また、前回の私のブログでも明らかに言及した通り、タイも上記のようなメリットを見越して2022年に大麻を合法化したものの、結果手痛い打撃を受け、2025年1月には再び麻薬指定するという歴史をちょうど経験したところです。
これらの事例は、大麻合法化が短期的には経済的利益を生む一方で、長期的には深刻な問題を引き起こす可能性があることを示しています。
特にドイツは、マルタやルクセンブルクとは異なり、人口約8000万人という大規模な国であるため、影響も大きくなるでしょう。今後、ドイツがどのような経過をたどるのかは不透明ですが、大麻の長期使用による精神面・感情面への悪影響を考慮し、慎重な監視が求められます。短期的な経済メリットのみにとらわれず、社会全体の健康と安全を守るための対策が必要不可欠です。
違法であれ合法であれ、薬物が人々に与える悪影響は心身ともに深刻です。薬物依存の問題を抱えている方は、今すぐにナルコノンにご相談ください。
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