薬物をやめてよかったことは、特別な成功だけではありません。人に興味を持てること、小さな幸せを感じられること、余計な準備なしに動けること。そうした“当たり前”が戻ってくることこそ、私にとって大きな回復でした。
人に興味を持てるようになった

ナルコノンでは、数ヶ月のプログラムの中でかなり変化を感じます。
けれど私の場合、卒業した後にその変化をより強く実感しました。
なぜなら、自分は変わっていても、周りの人たちは数ヶ月でそこまで大きく変わっているわけではないからです。
卒業後、コンビニに立ち寄った時のことを今でも覚えています。
店員さんとの何気ないお釣りのやり取りの中で、「世の中の人って、こんなに親切だったんだ」と感じたのです。
でも実際は、急に世の中が優しくなったわけではありません。
変わったのは、ひねくれた見え方をしていた自分自身だったのだと思います。
薬物を使っていた頃は、人に対して警戒心や被害意識を持ちやすく、どこか心を閉ざしていました。
今は以前より、人そのものに興味を持てるようになり、人と関わることへの怖さも少し減りました。
小さな幸せに気づける

薬物を使っていた頃は、刺激が強すぎて、普通の楽しさを感じにくくなっていた気がします。何か特別なことがないと満たされない。強い刺激がないと退屈に感じる。そんな状態でした。でも今は、料理にひと手間加えてみること、普段と違う道を歩いてみること、育てたことのない植物を眺めてみること、苦手な人でも共感できる話題を探してみること。そういう小さいことで、心が満たされることが増えました。派手ではないけれど、こういう穏やかな安心感は意外と大きいです。昔の私は、刺激ばかりを求めていました。でも今は、静かな幸せに気づける時間の方が、自分には大切なのだと思えるようになりました。薬物をやめるということは、楽しみを失うことではなく、本来感じられるはずだった普通の喜びを取り戻していくことなのだと思います。
自由に動けることが周りにも伝わる
薬物を使っていた頃は、何かをする前に必ず“セット”が必要でした。出かける前に使う。人に会う前に使う。落ち着くために使う。そんなふうに、薬物が行動の前提になっていました。ただ買い物に行くだけなのに、トイレで長時間こもってしまうこともありました。今振り返ると、本当に不自由だったと思います。薬物を必要としなくなった今は、「やろう」と思ったら、そのまますぐに動けます。余計な儀式や隠し事に時間を奪われないことは、想像以上に快適で自由です。そして、自分が元気で明るくいると、それだけで周りの人が安心したり、少し元気になったりすることがあります。特別なことをしなくても、自分自身を大切にして、健康に、穏やかに、人と笑って過ごしていること。それだけでも、周りに与えられるものはあります。薬物をやめた後に戻ってきた“当たり前”は、私にとって本当に大切なものです。

ナルコノン卒業生スタッフ タコ
