かつて私が薬物をやめられなかった頃、ガラスパイプを片手に持ちながら、ノートに「なぜ自分はやめられないのか」を殴り書きしていたことがあります。

その時のノートには、ぐちゃぐちゃの文字で、自分の苦しさや不安が書き殴られていました。
今回は、その中から特に大きかった7つの理由と、薬物を必要としなくなった今、それらに対する感じ方がどう変わったのかを書いてみようと思います。
① 現実と向き合うのが怖い
薬物を使っていた頃は、現実と向き合うことがとても怖かった。
不安、人間関係、お金、自分自身――そういったものを考えたくなくて、薬物で感覚を麻痺させていた部分もあったと思う。
しかし今振り返ると、「現実そのもの」が怖かったというより、“現実に対処できる自分が育っていなかった”のだと思う。
ナルコノンでは、問題を一つずつ落ち着いて対処する力を学んだ。(目の前の出来事にただ楽にそこにいる技術)
すると、昔のように「全部終わりだ」と極端に考えることが減り、現実から逃げ続けなくても生きられる感覚が少しずつ増えていった。

② 素の自分に自信がない
当時の私は、「薬物を使っていない自分には価値がない」とどこかで思っていた。
けれど今振り返ると、本当に自分の価値を下げていたのは薬物そのものだったのだと思う。
薬物を使うことで、自分自身を否定し続け、「どうせ自分なんて」という感覚をさらに強めていた気がする。
ナルコノンで学んだコミュニケーションやライフスキルを、今も完璧に使いこなせているわけではない。
それでも、嘘や隠し事をする生き方が、自分の生きづらさを強めていたのだと理解できるようになった。
そして、そういうことを少しずつやめていくことが、自分の自信を作っていくのだと思えるようになった。

③ 一瞬でも苦しさを忘れられる
確かに薬物を使えば、一瞬だけ苦しさを忘れられる感覚はあった。
でも、問題そのものが消えたわけではなく、後からもっと苦しくなることも多かった。
だからまた薬物を使って苦しさを紛らわす。この繰り返しで依存が形成されていき、気づいた頃には罠からすっかり抜け出せない。
自分が依存状態にあるという不都合な現実に向き合うのを避けるために、無意識に言い訳や嘘をついて生きづらさが増していった。
薬物をやめた今は、苦しい時でも、自分の小さな良い部分や、少しずつ前に進めている部分を見つけられるようになった。

④ 快楽が得られなくなるのが怖い
最初は、「薬物をやめたら人生が色褪せる」と本気で思っていた。
しかし実際には、少しずつ自然な楽しさや感情が戻ってきた。
綺麗な景色を見て心が動いたり、人と笑ったり、普通のことを普通に楽しめる感覚は、薬物の快楽とはまた違う安心感がある。
ナルコノンでは、自分の意識を“今この瞬間”に向ける練習をたくさん行う。
これは卒業した今でも、どこでも一人でできることなので、とても役に立っている。

⑤ 「薬物なしの人生」が想像できない
当時は、本当に薬物なしでは生きられないと思っていた。
しかし今振り返ると、限界だったのは“薬物なしの人生”ではなく、“薬物ありの人生”の方だった。
今では、「よくあんな危険なことを続けていたな」と逆に思うこともある。
また、薬物なしで人生を生きている人の方が圧倒的に多い。
だからこそ、そういう人たちと新しく関わっていけるチャンスが、世の中にはたくさんあることにも気づいた。
薬物をやっていた頃の私は、「薬物をやっていてもOKしてくれそうな人」を無意識に探していた気がする。

⑥ 失敗するのが怖い
「どうせまた失敗するくらいなら、最初からやめない方が楽だ」
そんな気持ちもあった。
しかし回復というのは、最初から完璧にできることではない。
少しずつでも前に進み続けることが大切なのだと、今は感じている。
薬物は即効性のあるものだから、それに慣れていると、「すぐに効果が出ないこと」に不安を感じやすくなる部分もあると思う。
けれど、本当の変化というものは、コツコツ継続していくことで、少しずつ積み上がっていくものなのだと思う。

⑦ やめた後の空虚感が怖い
薬物が生活の大半を占めていたからこそ、やめるのが怖かったのだ。
これは、ゲームやギャンブルに強く依存している人が、それを取り上げられたら「生きがいがなくなる」と感じるのと少し似ているのかも。
ナルコノンで断薬をした後、空虚感は思っていたほど強くはなかった。
もちろん、ふとした瞬間に、感情が空っぽになったような感覚になることはあった。
だけど、その時には違法薬物を売ってくれる売人ではなく、相談できるナルコノンスタッフが何人もいた。
ナルコノンで時間をかけていく中で、その空いた場所に、人間関係や人生の目標、そして“本来の感情”が少しずつ戻ってきた。
薬物をやらなくなることで、「できるようになること」が増えていく。
そして、小さなことでも、自分で気づいて、自分で認めてあげる。
それがとても大切なことなのだと思う。

いかがでしたか?
これを読んでいる人の中には、今はまだ「薬物を手放すのが怖い」「やめたくない」と感じている人もいるかもしれません。
「やめたくない」と思ってしまう自分がいるからといって、回復の可能性がないわけではありません。
むしろ、その葛藤の中で苦しんでいる時点で、「本当は変わりたい」という気持ちが、心のどこかに存在している証です。
そしてその気持ちは、人生を立て直していく上で、とても大切な“始まり”なのだと思います。
ナルコノン卒業生スタッフ タコ🐙
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