もし、自分の隠し事や嘘がすべて明るみになったらどうしますか?
私は薬物を使っていた頃、嘘に嘘を塗り重ねるような人生を送っていました。
もし自分の隠し事が全部暴かれたら、自分という存在が溶けて消えてしまうんじゃないか。
そう思うほど、常に強い不安を抱えていました。

薬物を使うことと、嘘をつくこと。
この二つは、とても強く結びついてしまうことがあります。
もちろん、最初から「嘘をついて生きよう」と思って薬物を始める人は少ないと思います。
けれど、違法薬物を堂々と使えば捕まる可能性がありますね。
家族や恋人、周囲の人を悲しませたり驚かせたりすることもあります。
だから、使ってる人は少しずつ隠すようになります。
どこに行くのか。
誰と会っているのか。
何にお金を使ったのか。
本当は今どんな状態なのか。
そうやって少しずつ、“本当の自分”を隠しながら生きるようになっていくのです。

嘘や隠し事がある人生は、想像以上に苦しいものです。
たとえ楽しいことがあっても、心のどこかに常に負い目が残る。
100%安心して笑えない。
「バレたらどうしよう」という不安が、頭の片隅から消えない。
それは、自分自身が一番「正直に生きられていないこと」を分かっているからだと思います。
薬物の問題は、身体への影響だけではありません。
嘘を重ねることで、人との信頼関係が少しずつ壊れていく。
そして一番苦しくなるのは、他人よりも、自分自身に対して誠実でいられなくなることです。

そして、人は罪悪感が限界まで積み重なると、不思議な行動を取ることがあります。
それが、「開き直り」です。
本当は苦しい。
本当は隠し続けるのが辛い。
でも、その苦しさに耐えられなくなる。
すると人は、こうした考えにたどり着くことがあります。
「みんな何かしら依存している」
「酒よりマシ」
「合法の国だってある」
「自分はやめようと思えばやめられる」
そんなふうに、自分を正当化し始めるのです。
もちろん、本当にそう信じている部分もあると思います。
けれど実際には、“自分の苦しさを感じ続けないため”に、心が必死に自分を守ろうとしている状態でもあるのです。

私は、薬物の問題は「悪い人だから起きる」のではないと思っています。
むしろ、人は弱さや苦しさを抱えた時、自分を守るために嘘をつき始めることがある。
けれど、その嘘は少しずつ、自分自身の心を削っていきます。
自分を好きでいられなくなる人もいます。
私自身も、薬物使用が長くなるにつれて、自分を卑下するようになりました。
「どうせ自分はクズだから」
「どうせ自分は薬物をやっているから」
「だから自分は幸せになれない」
「自分には〇〇なんて無理だ」
声に出して言わなくても、そんな言葉が頭の中にずっとありました。

だからこそ大切なのは、「責め続けること」ではなく、もう隠し続けなくてもいい状態へ少しずつ戻っていくことなのかもしれません。
本当の意味で回復していくというのは、
薬物をやめることだけではなく、
「嘘を重ねなくてもいい」
「本当の自分を隠し続けなくてもいい」
そんな生き方を少しずつ取り戻していくことなのだと思います。

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