薬物を使っている人は、周囲を疑いやすくなることがあります。「警察に監視されている」「家族にバレている」など、現実とは違う思い込みが強くなる状態です。今回は、その勘繰りが起きる仕組みについてお伝えします。
勘繰りとは何か
こんにちは。薬物リハビリ施設ナルコノンジャパン卒業生のタコです。
「薬物をやっている人は勘繰りがすごい」という話を聞いたことがあるでしょうか。
薬物を使う人たちの間で言われる「勘繰り」とは、実際にはそうではないのに、悪い方向へ疑ってしまう状態のことです。

たとえば、「警察が自分を監視しているのではないか」「家族はもう全部気づいているのではないか」「誰かが自分を尾行しているのではないか」「周りの人が自分の悪口を言っているのではないか」と感じてしまうことがあります。
周囲から見れば考えすぎに見えても、本人にとってはとてもリアルです。不安や恐怖が頭の中で膨らみ、目の前の人の言葉や行動まで、自分を責めているように見えてしまうことがあります。
この勘繰りは、放置すると人間関係を壊す原因になります。家族の何気ない言葉を疑って受け取ったり、友人の行動を敵意として解釈したり、恋人や配偶者を責めたりすることもあります。さらに悪化すれば、強い被害妄想や攻撃性につながり、事件や事故の原因になることもあります。
薬物の怖さは、体を壊すことだけではありません。世界の見え方そのものを、疑いと不安に変えてしまうことにもあるのです。
なぜ疑い深くなるのか
勘繰りが起こる理由はいくつかあります。
まず大きいのは、自分が違法薬物を使っているという自覚です。本人は、心のどこかで「悪いことをしている」「見つかったら大変なことになる」と分かっています。そのため、意識が自然と「バレるのではないか」「捕まるのではないか」という方向へ向きやすくなります。

さらに、薬物を使用している時は、良くも悪くも意識が一点に集中しやすくなります。もしその集中が、不安、恐怖、罪悪感の方向へ向かってしまうと、頭の中で疑いがどんどん膨らんでいきます。これが悪い方向への思考のループです。
もう一つ大きな要因が、睡眠不足です。覚醒剤やコカインなどの薬物は、脳を強く刺激し、眠りにくい状態を作ります。十分な睡眠が取れない状態が続くと、人は誰でもイライラしやすくなり、判断力が落ち、物事をネガティブに受け取りやすくなります。
普通なら気にしない一言でも、「疑われているのではないか」と感じてしまう。家族から「今日は何してたの?」と聞かれただけで、「そんなことを聞くなんて、何か気づいているに違いない」と思ってしまう。
このように、薬物による過覚醒、罪悪感、睡眠不足、判断力の低下が重なることで、勘繰りはどんどん強くなっていきます。
一人では越えにくい時期がある
では、一度そのような状態になってしまったら、もう戻れないのでしょうか。
私は、そうではないと思います。
薬物をやめ、身体と心を整え、薬物使用中の自分の考え方と、薬物から離れた後の自分の考え方の違いを理解していくことで、勘繰りは少しずつ変わっていきます。
薬物を使っている時は、世界が敵だらけに見えることがあります。周りが自分を責めているように感じたり、誰も信じられなくなったり、人間関係が苦しくなったりします。しかし、それは本来の自分の性格だけで起きているものではなく、薬物によって思考や感情が大きく乱されている可能性があります。

私自身がそうでしたが、薬物をやめようともがいている人の多くは、この変化が訪れる前の段階で再使用してしまいます。薬物を使わない時間がつらい。気分が落ちる。不安になる。眠れない。人を疑ってしまう。その苦しさの中で、「こんなに辛いなら薬物を使った方がましだ」と感じてしまうのです。
だからこそ、一人で乗り越えるのはとても難しい場合があります。薬物をやめることは、短距離走ではなく持久走のようなものです。数日我慢すれば終わりではなく、身体を整え、睡眠や食事を立て直し、不安や欲求と向き合いながら、少しずつ薬物を必要としない状態へ進んでいく必要があります。
伴走者がいることの大切さ
私がナルコノンに入って良かったと思うことの一つは、伴走者がいてくれたことです。
薬物を使わない期間のビタミン摂取、解毒のためのデトックス、食事や睡眠の管理、そして気持ちが不安定になった時のサポート。これらを毎日一人でやり遂げるのは、簡単なことではありません。

薬物をやりたい衝動に駆られた時に、「今、やりたい気持ちになっている」と正直に打ち明けられる相手がいること。
そして、それを頭ごなしに否定せず、「そうなんだね。分かった。もう少し頑張ろう」と励ましてくれるスタッフがいること。
この存在は、本当に貴重です。
薬物をやめるということは、ただ違法なものを使わなくなることだけではありません。疑い、不安、イライラ、孤独から少しずつ離れ、人を信じられる感覚を取り戻していくことでもあります。
勘繰りが減る。人間関係が楽になる。家族の言葉を素直に受け取れるようになる。人を信じられるようになる。失っていた好奇心や挑戦する気持ちが戻ってくる。

そうした変化が、薬物を必要としない人生にはあります。
もし今、薬物による勘繰りや不安、人間関係の悪化で悩んでいるなら、一人で抱え込まないでください。ナルコノンジャパンでは、薬物を必要としない人生へ向かうためのサポートを行っています。
薬物をやめることは、つらいだけの道ではありません。人を信じられる自分を取り戻すための道でもあります。
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