米国内で合成麻薬「フェンタニル」がまん延し、過剰摂取による中毒者や死者の増加が社会問題になっています。トランプ政権は中国やメキシコ、カナダからの流入が原因だとして、関税引き上げによる圧力を強めました。米国内ではかつてのアヘン戦争の報復として、中国が合成麻薬を米国社会にばらまいているとの批判の声があります
フェンタニルはどこから生まれるのか
「フェンタニル」という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。強力な鎮痛作用を持つ合成オピオイドであり、本来はがんの末期や大手術の痛みを和らげるために医療現場で使われてきました。しかし同時に、違法な形で出回り、数多くの命を奪っている現実も存在します。では、この恐ろしい薬は一体どこから生まれているのでしょうか。
まず知っておきたいのは、フェンタニルは自然界の植物から直接抽出されるものではないということです。モルヒネやヘロインのように、ケシの実(アヘン)を原料にして精製される麻薬とは異なり、フェンタニルは完全に人工的に合成される化学物質です。つまり「原料」としては、化学工場で使われるさまざまな試薬や中間体が出発点となります。専門的には「プレカーサー(前駆体)」と呼ばれる物質があり、それらを化学的に組み合わせることでフェンタニルが完成するのです。
本来、これらの化学物質は医薬品研究や産業用途で正規に流通しています。しかし一部が不正ルートに流れ、違法な実験室で合成されると、一瞬で「医療用の鎮痛薬」から「命を奪う危険薬物」へと変貌するのです。
ケシからではなく「化学」から生まれる麻薬
人々の多くは「麻薬」と聞くと、ケシの花やコカの葉など、植物をイメージするかもしれません。実際にモルヒネ、ヘロイン、コカインといった代表的な薬物は植物に由来しています。しかしフェンタニルはまったく異なる道筋で作られる薬物です。
1960年代にベルギーの科学者が開発したフェンタニルは、当初から「人工的に」合成された化合物でした。つまり自然界に存在しない、完全な化学合成麻薬です。この点こそがフェンタニルを危険な存在にしている理由の一つです。
植物に依存する麻薬は、栽培や収穫という制約があります。しかしフェンタニルは化学薬品と設備さえあればどこでも合成が可能です。小規模な秘密ラボであっても、十分に致死量を生み出すことができます。しかもフェンタニルはモルヒネの数十倍、場合によっては100倍以上も強力だとされるため、わずかな量でも致命的な結果を引き起こします。
2ミリグラム、塩で言うと細かい粒が二つくらいで致死量に達するといいます。離脱症状も強く、依存性も非常に高い。合法的に処方されるフェンタニルもあるが、その効果の強さからアメリカ国内でも厳しい管理がなされている。
フェンタニルが日本で流通する可能性は
最近の衝撃的なニュースによれば、米国に合成麻薬「フェンタニル」を不正輸出する中国組織が日本に拠点をつくっていた疑いが判明した。場所は名古屋市とされています。
日本でも過去に2件、すでにフェンタニルを乱用した事例が報告されているようです。うち1件は、死者も出ています。密輸されたケースはこれまでに確認されていないということですが、これは時間の問題かもしれませんね。
(千葉県市原市にあるここナルコノンジャパンで撮影された写真)
フェンタニルは、これまでに流通してきた違法薬物とは比にならないぐらい危険な香りがします。聞いている限り、あまりに殺傷能力が高すぎます。絶対手を出さないでください。そして、フェンタニルに限らず、違法薬物のことでお困りの方、そのご家族、友人の方はここナルコノンジャパンにご連絡ください。一緒に薬物問題を解決しましょう。
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