アルコールは、唯一「なぜ飲まないの?」と聞かれる薬物です。「なぜあなたは覚醒剤を使わないんですか?」なんて、聞かれることは普通ありませんよね…。だってそれは、危険な薬物であると広く知られているんですもの。しかしながら、アルコールの危険性は甘く見られてしまいます。
私、スタッフのアユも、最後にお酒を飲んだのはもう何年も前のことになりますが、「どうして飲まないの?」と聞かれたことは1度や2度ではありません。
今日は、そんな厄介な薬物であるアルコールについて、自身も薬物依存を克服したという海外の女性ライター、ジュリーさんの記事を日本語でご紹介します。
元のブログ(英語版)はこちら(Why Alcohol Is The Hardest Drug to Quit)からお読みいただけます。
アルコールはどうして最もやめにくい薬物なのか?
アルコールと聞いても、多くの人は薬物だと思っていません。その理由のひとつは、飲酒が社会的に受け入れられているため、多くの人が飲むことに対してためらわないからでしょう。他の理由には、合法であるため、覚醒剤のように悪いものではないと思われがちだからでしょう。ここで覚醒剤とアルコールについて議論するつもりはありませんが、乱用されれば、どちらもかなり危険なものであることには変わりありません。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、アメリカでは2011年から2015年の間に、アルコールの過剰摂取で95,000人以上が亡くなっています。
私は8年間、薬物依存の分野で働いてきました。薬物依存が引き起こす被害も見てきましたし、自分の人生にコントロールを入れ直すことがどれだけ難しいかも見てきました。それぞれの薬物にはそれぞれの難しさがあり、どの薬物も止めるのは難しいものですが、私の考えでは、アルコールはおそらく、すべての薬物の中で最もやめるのが難しいと思います。その理由について、以下にその理由を挙げていきます。
①禁断症状で死に至ることがある
多くの人は、アルコールの禁断症状が実際に人を死に至らしめる可能性があることを知りません。だからこそ、アルコール依存の人は、その症状における医学的治療を受けることがとても重要です。アルコール依存になった人全員が医療的に措置を必要とするわけではありませんが、身体的依存の重症度を調べてもらうために、お酒を断つ前に医師と話をすることは極めて重要です。
幸いなことに、安全にこの手順を踏むための方法はいくつか存在します。しかし、お酒を断つ前に、訓練を受けた専門家から医学的評価を受けることが重要であることは、いくら強調してもしすぎることはありません。
②激しい欲求
すべての薬物がそうですが、アルコールも、断とうとすると強烈な欲求を引き起こします。これは、人が断酒を続けようとする時に直面する大きな障害の1つでしょう。お酒を断った後最初のうちは、この欲求を乗り越えるのが難しいことがあります。そのため、安定して乗り越えるには、入所型のプログラムを行うことが有益です。多くの場合、この段階を乗り越えるためには、アルコールに手の届かない安全な場所にいる必要があるからです。
③アルコールはどこにでもある
アルコールがやめにくい薬物であるもう1つの理由は、その手に入れやすさです。たいていの薬物がどこでも手に入りますが、アルコールは最も簡単に手に入ってしまいます。居酒屋、バー、レストラン、食料品店、ガソリンスタンドで売られていることも。
私がお酒を断った後初めて行ったレストランで、他の人たちのテーブルにワイングラスが置かれた時の気持ちは忘れられません。世界中の人が禁酒する日が来るとは思っていないものの、それでもしばらくは不快な思いでした。幸いなことに、時間が経つにつれて気にならなくなりましたが、回復初期にある人々にとってはまだ辛いことです。
④アルコールの広告
断酒を試みる人にとって、おそらく最も大きな打撃となるのは、看板、テレビ、ラジオ、雑誌、インターネットなどで目にする数々の広告でしょう。アルコールを売る企業は、飲酒を華やかで楽しいものに見せようと、多額の広告費を費やしています。
これは企業側の収益にとっては素晴らしいことでしょうが、お酒をやめようとしている人々の心に多くの打撃を与えます。少なくとも、覚醒剤をやめようとしている人が、通勤途中に覚醒剤の使用を宣伝する看板を目にする心配はありません。
⑤大多数の人が酒を飲む
率直に言って、アメリカでは多くの人がお酒を飲むのが大好きです。祝い事、家族の集まり、職場のパーティー、コンサート、スポーツの試合など、数え上げればきりがありません。
2019年の米国薬物使用と健康に関する全国調査によると、以下のような結果が出ています。
- 18歳以上の人々の85.6%がアルコールを飲んだことがある
- 調査対象者の69.5%は過去1年間に飲酒している
- そのうち54.9%は過去1ヶ月の間に飲酒している
国立アルコール乱用・依存症研究所(National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism)が発表している多くの統計の中で、これらの数字を見ると、飲酒がいかに蔓延しているかがわかります。
⑥完全に新しい人生を創造しなければならない
1日や2日ならほとんど誰でも酒を止めることができますが、断酒を継続するためには、まったく新しい人生を自分で切り開く必要があります。長期的な断酒における大きな困難は、お酒に頼らず生きる方法を学ぶことです。多くの場合、昔の友人との関係を断ち、飲みに行っていた場所に出向くのをやめる必要があります。
これは思い切ったことのように思われるかもしれませんが、依存から回復するための生活を送る上では絶対に欠かせないことです。バーでたむろしたり、酒を飲んでいる人たちが集まるパーティに行き続けたりしていてはお酒をやめることはできません。「床屋の椅子に長く座るほど、髪はもっと切られるものだ」と誰かが言っていたのを思い出します。
⑦飲まない理由を説明しなくてはいけない唯一の薬物 – アルコール
アルコールを飲まないことで最もイラつくのは、自分が飲まないことを人に説明しなければならないことでしょう。これは個人的な選択ですし、誰に説明する義務もないのですが、それでも「酒を飲まない」と言うと多くの人が「なんで?」と聞いてきます。
私もお酒を飲まないと言って、不思議そうな顔をされたことがあります。これこそもっと大きな問題じゃないかと思うほど、かなり悲しい事実です。覚醒剤や大麻をやめた理由を聞いてくる人はいませんが、酒を飲まないと言うと、人は質問してくるのです。
お酒を飲まないという選択は難しくなりがちですが、かと言って、それは全く不可能なことではないことを忘れてはいけません。多くの人が、お酒をやめることがいかに難しいかを口にしますし、それはある程度理解できますが、だからと言って、完全に諦めて屈する理由にならないことは確かなのです。アルコール依存を克服した人は数え切れないほどいますし、あなたやあなたの大切な人がお酒を完全に断ち、それを維持するための支援方法はたくさんあります。
もしあなたやあなたの大切な人がアルコール依存に苦しんでいるなら、あなたにできる最善のことは、助けを求めることです。アルコール依存は扱いにくいテーマではありますが、ありがたいことに、この問題に取り組む人々を毎日助けている専門家がいるのですから。
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以上が、ジュリーさんの記事でした。
アルコール依存は、本当に厄介な問題です。しかしながら、それを克服して幸せを手に入れた卒業生たちが、ナルコノンにはいます。
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