ヘロインとは
へロインは、非常に強い中毒性を持つ違法薬物です。この薬物の中毒者は世界中に何百万人もいます。そういった人たちは、この薬物を毎日取り続けたいという衝動を抑えることができません。もし使用を止めれば、恐ろしい禁断症状に苦しめられるからです。
へロインはアヘンやモルヒネと同様、植物のケシの樹液から作られます。ケシの未熟蒴果(さくか)からアヘンが抽出され、これを精製するとモルヒネになります。それをさらに精製すると、さまざまな種類のヘロインになります。
多くの場合ヘロインは注射によって用いられますが、これには別の危険性があります。中毒による苦痛だけでなく、AIDS(エイズ)などの感染症の危険にもさらされます。
「ヘロインをやったばかりに、世の中からつまはじきにされた。両親にも追い出され、友達や兄弟も二度と会おうとしてくれなかった。私は完全にひとりぼっちだった。」
(引用・出典:https://jp.drugfreeworld.org/drugfacts/heroin.html)
ヘロインの最も純粋な形は、きめ細かい白色の粉末です。しかしたいていの場合、それは赤みがかった灰色、茶色、黒色となっています。こうした色合いは、ヘロインを薄めるために使われている砂糖やカフェインなどの添加物によるものです。街で売られているヘロインは、ストリキニーネなどの他の毒物が混ぜられていることがあります。こうした添加物は水に完全に溶けないため、体内に注射されると肺、腎臓、脳につながっている毛細血管を詰まらせ、その結果感染症を起こしたり、身体の大切な臓器が破壊されることがあります。
街でヘロインを買う人は、自分が購入した薬物が実際にどれ位強いのかを知ることができません。そのため、使用者は常に過剰摂取の危険にさらされています。
ヘロインは静脈注射やスニフィング(鼻から吸引)、喫煙など、さまざまな使用法があります。ヘロインを初めて使用した時は「強烈な陶酔感」を生み出します。外向的になったように感じたり、また人々と簡単にコミュニケーションを取れるようになったと感じたり、性的能力が高まったように感じますが、それらは長続きしません。
ヘロインには強い中毒性があり、使用を中止すると激しい苦痛に襲われます。この薬物は、免疫系をあっという間に破壊します。常用者はやがて病気がちになり、極端にやせ衰え、ついには死に至ります。
(引用・出典:https://jp.drugfreeworld.org/drugfacts/heroin/what-does-heroin-look-like.html)
「ヘロイン中毒スタイル」― うつろな表情、青白い顔色、目の下のくま、落ちくぼんだ頬、極端なやせすぎ、脂ぎった髪が人気のある雑誌やファッション関係者の間で「ヘロイン・ルック」や「ヘロイン・シック」という言葉でもてはやされました。ちょうど1960年代にロック・スターがLSDの大衆化に手を貸したように、現代では 何人かのファッション・デザイナー、写真家、広告業界の人たちが、雑誌や音楽ビデオを通じてヘロインの使用に「おしゃれ」「魅力的」というイメージを与え、若い世代全体に影響を与えています。
(引用・出典:https://jp.drugfreeworld.org/drugfacts/heroin/i-ll-just-try-it-once.html)
チーズ・ヘロイン
「チーズ・ヘロイン」とは非常に強い中毒性のある薬物で、メキシコ産のブラック・タール・ヘロイン(その色から「ブラック・タール」と呼ばれる)と市販の風邪薬をブレンドしたものです。
この薬物は一回分わずか数ドルです。チーズ・ヘロインにはまってしまった9歳の子供たちが、ヘロインの禁断症状のために病院の緊急治療室に担ぎ込まれました。
この混合薬物を取ると、呼吸や心拍といった重要な身体機能が低下し、死に到る可能性があります。関係当局によると、テキサス州北部では2004年以来、チーズ・ヘロインによって少なくとも40名が亡くなったとのことです。
(引用・出典:https://jp.drugfreeworld.org/drugfacts/heroin/cheese-heroin.html)
ヘロインがもたらす影響
すぐに生じる弊害:ヘロインを初めて取った時に起こる反応のひとつは、高揚した感覚、つまり「快感」です。これはたいてい、皮膚が熱くなるような感覚や口の渇きを伴います。また、吐き気やひどいかゆみといった反応が起こる場合もあります。
これらの作用が消えた後、使用者は何時間も続く眠気に襲われます。呼吸や心臓の鼓動といった基本的な身体の働きが低下します。
効き目が薄れてから数時間たつと、身体がまた薬物を欲するようになります。もし薬物を取らなければ、禁断症状が始まります。禁断症状は身体と心の両方に起こり、非常に激しいものであるため、ヘロインをまた取らなければ収まりません。その症状は、不安、関節の痛み、下痢、嘔吐、ひどい不快感などです。
使用者が求める強い快感はわずか数分しか続きません。続けて使っているうちに、ただ「普通」の状態でいたいだけでも、薬物の量を増やさなくてはならなくなります。
「ドラッグは死に等しい。そこから抜け出さなければ死んでしまう。薬物中毒っていうのは、監獄に入るようなもの。最初は薬物のおかげで面倒なことや嫌なことから逃げられるから友達みたいに思えるけど、すぐに朝起きたら薬物のことばかり考えてる自分に気付くようになる。」
「薬物を探し、薬物を取ることだけで1日が過ぎていく。午後はいい気分でいられるけど、夜はヘロインなしでは眠れない。そのためだけに生きるようになる。監獄にいるのも同然。ひっきりなしに壁に頭を打ち付けても何もならない。最後にその監獄があなたのお墓になる。」
短期的な影響:「快感」・呼吸が遅くなる・もうろうとした気分・吐き気、嘔吐・鎮静、強い眠気・低体温・昏睡、死(過剰摂取による)
(引用・出典:https://jp.drugfreeworld.org/drugfacts/heroin/the-destructive-effects-of-heroin.html)
長期的な影響:へロインを長期間使用すると、身体に破壊的な影響を及ぼします。度重なる注射のために静脈が破壊され、血管や心臓の感染症になることがあります。また身体全体の働きが低下するため、結核1になることもあります。関節炎もヘロイン中毒の長期的な影響のひとつです。
ヘロイン中毒者は、よく同じ注射針を仲間うちで使い回します。これはエイズなどの伝染病につながります。合衆国では毎年新たに3万5000人がC型肝炎ウイルスに感染していますが、その70パーセント以上が注射針を使用している薬物乱用者です。
「ヘロインは最高だと思っている人もいるけど、すべてを失うことになるんだ。仕事、両親、友人、自信、家までもね。嘘や盗みが習慣になる。誰も、何も尊重できなくなるんだ。」
(引用・出典:https://jp.drugfreeworld.org/drugfacts/heroin/long-term-effects.html)
ヘロインを試そうとしている多くの人がこう考えます。「1回か2回試してみるだけさ。いつでも止められる。」しかし、いったん取り始めると、もう後戻りできなくなっている自分に気付きます。15歳の中毒者、サムはこう言っています。「やり始めた頃は、たいてい吐いたり気持ち悪くなったりするんだけど、すぐにまたやりたくなる。何かに取り付かれたみたいに、ヘロインから離れられなくなるんだ。ヘロインを打てばいい気持ちになるから、もっとほしくなる。ヘロインなしでは生きていけなくなって…そうやって泥沼にはまっていくんだ。」
ヘロインを試すのは、中毒症の恐怖よりもさらにひどい、最悪の結果を招くことがあります。21歳のジムは、いつも友人とビールを飲んで夜を過ごしていました。彼は以前にヘロインを試してみたことがあったので、友人たちからヘロインを鼻から吸引するよう勧められた時、それに応じました。15分後、彼は突然意識を失い、深い昏睡状態に陥りました。それは2ヵ月以上続きました。現在彼は車椅子生活で、文字を書くことができず、かろうじて読むことができるという状態です。彼がかつて持っていた夢や望みはすべて失われました。
(引用・出典:https://jp.drugfreeworld.org/drugfacts/heroin/i-ll-just-try-it-once.html)
まだ幼いのにタバコを吸ったり、アルコールを飲んだりする子供たちがいます。国によっては高校を卒業するまでには、十代の若者たちの40%近くがマリファナを試し、それからさらに中毒性の高いものを取るようになるところもあります。
今マリファナを吸っている子供たち全員が、将来ヘロイン中毒になると決め付けることはできません。しかし、その危険性はあります。高校生を対象にした長期に渡る調査によると、マリファナを最初に試さないで、他の薬物を使用する若者はほとんどいません。薬物を取る人は、求めている最初の「快感」が得られなくなると、薬物の量を増やすか、もっと強いものを探し始めるのです。
不潔で暗い路地に崩れるように座りこむ物憂げな若いヘロイン中毒者、というイメージはもう過去のものです。今日では、12歳の中毒者がビデオゲームで遊んだり、同世代の音楽を楽しんだりしているかもしれません。彼は洗練されていて、スタイリッシュに見え、ヘロイン使用者によく見られる腕の注射痕のような痕跡は全くないかもしれません。
以前よりも使いやすく、安価なタイプのヘロインが入手できるようになったため、現在ヘロインはこれまで以上に人々の興味をひきつけています。アメリカでは、ヘロインを使用したことのある十代の若者(12歳から17歳)の数が、1995年から2002年にかけて3倍に増えました。
腕に注射針を刺すことをためらう若者も、ヘロインを喫煙したり、鼻から吸引することには抵抗がないかもしれません。しかし、それは間違った安心感です。そのような取り方には危険が少ないと考える人もいますが、実際にはヘロインは、どんな形で取っても危険で中毒性があるのです。
(引用・出典:https://jp.drugfreeworld.org/drugfacts/heroin/a-very-slippery-slope.html)